南スーダンのコーヒーセクターへのガイド

A guide to South Sudan’s coffee sector

その長い歴史にもかかわらず、南スーダンは2011年に独立したばかりです。世界で最も新しい国際的に認められた国になっています。


スーダンと同様に、南スーダンはエチオピア、ウガンダ、ケニアと国境を接しています。これらの国々はアフリカのトップ5のコーヒー生産国のうちの3ヵ国です。


多くのひとはエチオピアがコーヒーの発祥地だと信じていますが、2021のある研究によると、アラビカコーヒーは南スーダンも原産地である可能性があることが判明しました。しかしながら、驚くべきことに、この国でコーヒーが初めて輸出されたのは2015年でした。


進行中の紛争と内戦の結果、国のコーヒー部門は独立以来何年にもわたって苦労してきました。ありがたいことに、南スーダンのコーヒー産業は復活の兆しを見せていますが、国はまだ多くの課題に直面しています。


筆者はコーヒーの起源に関する歴史と、同国のより広いコーヒーセクターついて学ぶために、地元及び世界のコーヒーの専門家と話しました。彼らが私に言ったことを知るためにお読みください。


南スーダン:もう1つのアラビカ原産国?

しばらくの間、輸出量はごくわずかだったため、多くの人々はコーヒーが南スーダンで栽培されていることを知りません。栽培されたほとんどのコーヒーは国内で消費されています。


しかしながら「アラビカ コーヒーの原産地としての南スーダンの検証:保全とコーヒー作物の改良への関わり」と題した持続可能なフードシステムのフロンティア誌に掲載された最近の研究では、南スーダンでアラビカコーヒーが栽培されている歴史的な証拠があることがわかりました。


Christophe Montagnon さんは、RD2 Vision の CEO です。RD2 Vision は、コーヒーに特化した農業研究開発コンサルタント会社です。彼は研究論文にも寄稿しました。


「アラビカ種コーヒーの遺伝的多様性に関する情報はほとんどありません。」と彼は説明します。「南スーダンにはアラビカの木が自生していたことが歴史文献に示されています。」


これにもかかわらず、Christopheさんはエチオピアがアラビカコーヒーの唯一の原産地であることが広く受け入れられていると言います。彼は、この主張が過度に単純化されていることを DNA 検査が証明したと述べています。


「南スーダンのコーヒーの木の葉とエチオピアのコーヒーの木の葉のDNAをテストして比較したところ、DNAが完全に異なることがわかりました」と彼は言います。


Christopheさんと彼の同僚によるとアラビカ種は南スーダンでも人間の介入なしでしばらく自生してきたといいます。


「これは、南スーダンのコーヒーの木がエチオピアから持ち込まれたものではないという証拠です」と彼は説明します。


Sarada Krishnan さんはインターナショナル・ウィメンズ・コーヒー・アライアンス(IWCA)のエグゼクティブディレクターです。彼女もまた南スーダンのコーヒーに関する研究論文に貢献しました。


彼女は、この国が 10 年以上前に国境を確立したばかりであるにもかかわらず、そのコーヒーは遺伝的に独特であると言います。


「エチオピアのアラビカ種から隔離された結果、南スーダンのアラビカ種は遺伝的に区別されるようになりました」と彼女は言います。「しかし、スーダン・ルメなど、いくつかの品種は栽培のために南スーダンに持ち込まれました。」


この品種は現在、コロンビアを含むビーン(コーヒー豆)ベルトの他の地域で栽培されています。

南スーダンのコーヒ生産の概要

南スーダンには、ロブスタ種とアラビカ種の両方の栽培に理想的な独特の気候があります。


北部の乾燥した地域は、ロブスタ コーヒーの栽培に適しています。この種はより高い気温と

低い高度に耐えることができるからです。しかしながら国の南部では、降雨量が多く湿度が高いため、アラビカの栽培に適しています。


いくつかのアラビカ種のコーヒーは、南スーダンの東、エチオピアとの国境近くに位置するボマ高原で自生しています。


悲しいことに、潜在的に高品質のコーヒーを栽培する能力があるにもかかわらず、南スーダンのコーヒーセクターは、継続する紛争の結果崩壊しました。


Delphine Bourseauさん は、ネスプレッソ(Nespresso)のグローバル リレーションズ マネージャーです。彼女は、外部団体が国のコーヒー産業の活性化にどのように役立ったかを説明しています。

「2011 年に独立した後、ネスプレッソは非営利の TechnoServe と提携して、イェイ県南西部の小規模コーヒー農家を支援するプログラムを開始しました。」と彼女は言います。「このプログラムは、持続可能性に重点を置いて、何十年にもわたる紛争によってほぼ破壊された国のコーヒー産業を復活させることを目的としています」と彼女は付け加えます。


イェイ県はコンゴ民主共和国とウガンダとの国境に近く、3ヵ国間の貿易の重要なハブとしての役割を果たしてきました。また、ここ数年でコーヒーの生産量が回復しています。さらにここの気候はアラビカ種の栽培に適していますが、実際にはロブスタ種がより一般的です。


どのようにコーヒーは取引され、消費されるのか?

コーヒーは、1920 年代からイェイ県で栽培されてきました。 現在、この地域には、推定 1,000 の小規模農家がおり、コーヒーを栽培および販売しています。


歴史的に、南スーダンではナチュラルプロセスがポピュラーです。しかし、近年新たに建設された多くの湿式ミルは、農家がより多くのウォッシュドコーヒーを生産することを支援しています。


Paul StewartさんはTechnoServeのグローバルコーヒーディレクターです。彼は2016年以来、進行中の紛争が南スーダンでの湿式ミル工場の操業を妨げていると言います。


「協同組合は湿式ミルを運営できなかったため、農家は代わりにコーヒーを天日干しし、地元の市場で販売しています。」と彼は言います。「幸いなことに、農家が現時点で手にいられることができる価格は良好です。なぜなら南スーダンにコーヒーを輸入するのは非常に難しいからです。」


国の貿易システムは比較的単純です。農家はコーヒーが全国に販売される前に、トレーダーにコーヒーを販売します。市場は”フリー”です。つまり農家は最小の制限で誰にでもコーヒーを販売できます。


南スーダンのコーヒーの一部は国際消費用に輸出されていますが、これはごくわずかな量です。2012 年から 2016 年までの約 4 年間、ネスプレッソは国内で国際輸出用に生産されたすべてのコーヒーを購入し、「Limited Edition Grand Cru SULUJA ti South Sudan」カプセル ラインの一部としてヨーロッパと米国で販売しました。


国内消費に関していえば、南スーダンはコーヒー消費に関する独特の歴史的文化があります。Guhwah コーヒーは、赤い粘土で作られたフラスコであるjebenaで準備され、提供されます。この儀式は、エチオピアやエリトリアで人気のある儀式と幾分似ています。


「南スーダンの人々はよくコーヒーを飲みます。」「しかしほとんどのコーヒーはウガンダから輸入されています。」とPaulは言います。


「南スーダンで生産されるコーヒーはすべて地元で消費され、そのほとんどが家庭で消費されます。 人々は生豆を購入し、自分で焙煎します。」と彼は付け加えます。


この場合、人々はコーヒーを大きな鍋で直火で焙煎します。焙煎した豆が冷えた後、すりこぎとすり鉢を使って挽きます。コーヒーを沸騰させる前に、ブラックペッパーまたはすりおろしたショウガをコーヒーに加えることがよくあります。


南スーダンで栽培されたロブスタ種のコーヒーは、香りが良く、マイルドで木のような風味とバランスの取れたコクがあります。


遺伝的多様性への脅威

南スーダンの生活のほとんどの側面と同様に、継続的な紛争と政治的不安定の結果として、コーヒーの生産には苦労があります。


「アラビカの野生個体群は絶滅の危機に瀕しています」とChristopheさんは言います。「逆説的な状況です。国のアラビカ種の遺伝的多様性を発見すると同時に、それを失う危険性もあるからです。」


Christopheさんは、これも気候変動と森林伐採の影響によるものだと付け加えます。これらの要因により、研究者は南スーダンの野生のアラビカの木に関するより多くの遺伝情報を取得することができません。


Saradaさんは、彼女たちの研究の目標の 1 つは、地元のアラビカ生産を増やすことができる遺伝子バンクを確立することであったと述べています。しかし、彼女と他の研究者は国に戻ることができなかったと彼女は説明します。


「これらの植物が保存され、遺伝的多様性が失われないように、戻ってこれらの植物からより多くの遺伝子サンプルを収集することが非常に重要です」と彼女は言います。


Saradaさんは、研究チームが南スーダンのアラビカ種の個体群を森林や遺伝子バンクに保存しようとしていると説明しています。遺伝子バンクのコレクションにより、研究者はフレーバー や、気候変動、害虫、病気に対する回復力など、このコーヒーの特徴を研究できます。


「これらの種の遺伝子バンクのコレクションを増やす必要があるだけでなく、ヤユ保護区やカファ生物圏保護区など、コーヒーの森を保護するための政府の政策も必要です」と彼女は言います。「南スーダンのアラビカ種がどれほど回復力があるかはわかりません。したがって、これらの野生の個体群を保護し、保存する必要があります。」


南スーダンにおけるコーヒー産業の課題の克服

この国で進行中の紛争の結果、南スーダンではインフラの開発、土地へのアクセス、および農業慣行の改善に焦点が当てられていません。協同組合はまた、コーヒーの加工や輸出をより困難にしている湿式ミルの操業の再開にも苦労しています。


さらに、南スーダンのコーヒーセクターへの官民の投資が不足しているため、発展が妨げられています。


「今日の主な課題は不安定な政治情勢であり、ほとんどの世界市場が南スーダンからコーヒーを調達することを許可していません」と Delphine さんは説明します。「状況が安定したら、プログラムを再開できることを願っています。」


多くの農家が暴力のためにコーヒー生産地から逃げ出し、コーヒー生産はほぼ完全に停止しました。この労働力不足は、若者が経済的に重要であると考える仕事の機会を求めて都市に移動することによっても悪化しています。


しかし、国のコーヒーセクターにはいくつか見込みがあります。遠隔地では、コーヒーの木の植え付けやマルチング (土の表面を材料の資材で覆うこと) に関する情報が、ラジオ局を通じて農家と自由に共有されています。これは、正式なトレーニングを受けていない経験の浅い農家にとって特に役立ちます。


「私たちは、コーヒーを輸出できるように農家が湿式ミルを再開するのを助けたいと思っています」とポールは言います。「コーヒーセクターが成長する大きなチャンスがあります。」


「私たちは、農家グループや地元の起業家がコーヒーの苗木を生産するために運営している苗床にアドバイスとサポートを提供し続けています」と彼は締めくくります。


南スーダン政府は、特に石油輸出から離れようとしているため、国の経済を多様化し、後押しする方法として、コーヒー生産にオープンです。


さらに、国内で進行中の和平交渉により、農家は今後数年間で輸出を再開する可能性があります。将来、この国はその可能性を十分に発揮し、コーヒー生産は何千人もの人々に雇用の安定と生計手段を与えることができるでしょう。


最終的には、現在はアクセスできませんが、状況が改善されれば、南スーダンは今後数年間でより際立ったなコーヒーの産地になる可能性があります。しかし、そのためには、国内の紛争がほぼ確実に終結する必要があります。

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